人材育成の成否が、企業の業績に大きく関わることは言うまでもありませんが、最近では社員自らが、積極的に自己啓発に取り組んでいますので、その背景や利点、課題について解説します。
企業にとって、有益な人材を育成することは、経営基盤を盤石なものにするだけでなく、さらに事業規模を拡大するためにも非常に重要なことであり、人事部門に課された大きなミッションです。しかしながら、少子高齢化や若者の仕事の対する意識の変化を原因として、良い人材が集まりにくいのが実態です。そこで、企業は会社にとって有益かつスキルの高い人材に対しては、給与面で優遇し競合他社に流出しないよう防止策をとっているのが現状です。
一方、やる気のある社員にとっては、自分のスキルを高めることで、処遇面で大きな差が出ることから、自ら自己啓発に取り組む人が増えており、このことをSD(Self Development)と呼んでいます。会社にとっては、各種の研修の機会を設けなくとも、自ら必要な資格やスキルを身につけてくれるのですから、非常にメリットのあることです。
ただし、注意しなくてはならないのが、会社が求める資格やスキルと社員が取り組むものが乖離してしまうことです。社員としては、会社のために一生懸命勉強しても全く評価されなければ、モチベーションが低下してしまいます。こういった事態にならないよう、社員は会社が求めている、社員像を的確に把握することが大切であり、自己啓発を始める前に上司等に相談することが大切です。一方、会社側も社員の自主性にだけ頼るのではなく、積極的に社員研修などを実施し、社員に対して会社が必要とする社員のスキルや資格やなどを明確にすることが重要です。